2 オーディション会場 会議室(昼)

自主映画出演の役者の面談をしている小田島シンジ。向かいにはオーディションに来た女優(春香)が座っている。シンジは女優(春香)が送った宣材に目を通している。

シンジ「『映画は週10本以上観ます』と書かれているんですけど、そんなに観るんですか?」
春香 「はい」シンジ「どんな映画が好きなんですか?」
春香 「邦画が好きですね」
シンジ「へぇ。昔のとかもよく観ますか?」
春香 「はい」
シンジ「『小津』とか?」
春香 「『おづ』? 『オズの魔法使い』のことですか?」
シンジ「……いえ、なんでも」
×      ×      ×
帰っていく春香。
残っているシンジ。帰っていた春香の経歴書をしげしげ見る。
シンジ「『オズの魔法使い』か」
と独り言を言う。
ふと視線を上げると、ミコトとサナが立っている。
シンジ「……次の面談の方ですか?」
ミコト「……あなた『映画監督』?」
シンジ「……えぇ、まぁ、一応そういうことになりますね」
ミコトとサナはシンジの向かいに座る。
シンジ「……」
ミコト&サナ「……」
シンジ「どちらが安藤さん?」
二人は顔を見合わせる。
シンジは次の女優の宣材を見る。顔が明らかに違う。
シンジ「?」
ミコト「さっき『映画』の話してたでしょ?」
シンジ「……まぁ」
サナ「どうして人は『映画』を観るの?」
シンジ「……」
ミコト&サナ「……」
シンジ「それ、どういう意味?」
サナ「意味がわからない?」
シンジ「いや、質問の意味はわかるけど、意図がわからない」
二人は顔を見合わせる。
ミコト「私たち、『戦争映画』を観たの」
シンジ「『戦争映画』?」

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